お役立ちコラム

裁判で有効な証拠とは？

不倫の慰謝料請求において、裁判になった場合に有効な証拠となり得るものと、そうでないものがあります。慰謝料請求を有利に進めるためには、証拠となり得るもの、そうでないものを正しく理解しておくことが重要です。

裁判で有効と判断される証拠の基準として、「証拠能力」と「証明力」の二つがあります。

証拠能力がないものは、証拠として裁判で提出できません。一方で、証拠能力があっても、証明力が低いと、慰謝料請求は認められにくいです。

例えば、不倫相手とのメールのやり取りは証拠能力としては認められます。しかし、内容が「昨日は楽しかったね」など、肉体関係を直接的に示すものでない場合は証明力が低いと判断される可能性があります。

反対に、肉体関係があったことを明確に示す写真や動画は、証拠能力と証明力の両方が高い証拠といえるでしょう。

このように、証拠によって証拠能力や証明力の強さは異なります。そのため、慰謝料請求を検討する際は専門家に相談し、証拠の収集や手続きを進めることをおすすめします。

証拠として認められない行為と情報

たとえ不倫の事実を証明できるものであっても、違法な方法で収集したものは証拠として認められません。証拠として認められない行為と情報は、以下のとおりです。

盗聴・盗撮

パートナーのスマホを無断で操作して情報を取得したり、GPSを無断で取り付けたりすることは違法行為にあたり、それで得た情報は証拠として認められません。

プライバシーの侵害にあたる情報

パートナーの同意なく郵便物を開封したり、ごみ箱を漁ったりして得た情報もプライバシー侵害にあたるため、証拠として認められない可能性があります。

ハッキング

不倫相手のSNSアカウントなどを不正にアクセスして取得した情報は、違法行為にあたるため証拠として認められません。

偽造された情報

不倫の事実をでっち上げるために、画像や文書を偽造することは違法行為です。

上記のような違法行為によって得られた証拠は、たとえ不倫の事実を証明できたとしても裁判では無効とされる可能性があります。また、違法行為自体が犯罪として処罰される可能性もあるため、絶対にやめましょう。

証拠収集は専門家への相談がカギ

不倫の証拠収集は法的な知識や経験が必要となる場合があり、ご自身だけで行うには困難を伴うことがあります。確実な証拠を押さえるため、また違法な行為に走ってしまうことを避けるためにも、専門家への相談が重要です。

主に、以下のような専門家がいます。

興信所・探偵

• 不倫の証拠収集
• 浮気相手の特定

弁護士

• 証拠収集方法のアドバイス
• 慰謝料請求や離婚調停など、法的措置に関する相談

興信所や探偵は、専門的な調査によって確実な証拠を集めることができます。ただし、費用が高額になる場合もあるため、事前に見積もりを取るようにしましょう。

弁護士は、不倫問題に関する法的アドバイスや証拠収集方法の指導を行ってくれます。また、慰謝料請求や離婚調停など、法的措置が必要な場合にも対応可能です。

専門家への相談は、早期解決や自身にとって有利な状況を作るために非常に大切です。一人で抱え込まず、まずは専門家に相談することをおすすめします。

発言の記録

パートナーが不倫を認める発言は、証拠として非常に有効です。

例えば、パートナーが不倫を認め、反省している様子がわかる発言です。具体的には以下のようなものが挙げられます。

「〇〇さんとホテルに行った」「肉体関係を持った」

誰とどのような行為をしたかを具体的に話しているかが重要です。

「もう二度としない」「やり直したい」

反省や謝罪の言葉は、証拠としての価値を高めます。

これらの発言は、音声データとして録音しておきましょう。録音する際は、以下のような点に注意する必要があります。

• 日時と場所を明確にする：いつ、どこで録音したかを記録しておく
• 第三者の立ち会いを避ける：二人だけの状況で録音することが重要
• 相手の同意を得る：法律的に無断での録音は認められない場合があるため、事前に相手の同意を得ておくことが望ましい

また、音声データだけでなく反省文や謝罪文のような書面でも証拠となりえます。

反省文や謝罪文には、不倫の内容（誰と、いつ、どこで、何をしたか）、反省の気持ちなどを具体的に記述してもらいましょう。

これらの記録は不倫の事実を証明するだけでなく、慰謝料請求や離婚調停など、今後の手続きにおいても重要な役割を果たします。

ただし、発言の記録はそれが真実を述べていると認められる場合にのみ証拠としての価値を持ちます。状況証拠と合わせて提出することで、より強力な証拠となるでしょう。

行動履歴の確認

不倫相手と頻繁に会っている場合、その行動履歴が証拠になることがあります。

例えば、以下が挙げられます。

ICカードの利用履歴

電車やバス、タクシーでの移動履歴から、不倫相手と密会した可能性を裏付けます。

ドライブレコーダーの記録

車での移動の場合、目的地や車内の会話が記録されていることがあります。

カーナビの履歴

訪問場所や日時が記録されていることがあります。

ドライブレコーダーやカーナビの履歴が証拠として採用されるためには、それが確実にパートナーの行動を記録したものであることを証明する必要がある場合もあります。

行動履歴の確認は不倫の疑いを裏付ける材料の一つとなりますが、行動履歴だけでは不倫の決定的証拠にならないケースもあるため注意が必要です。他の証拠と組み合わせて、より確実な証拠を積み重ねていくことが重要です。

自分で収集できる証拠として、他にも領収書・クレジットカードの明細書、メール・手紙などがあります。しかし、自分だけで証拠収集するのは精神的負担やどこまでなら大丈夫なのかの線引きが難しく、証拠収集の過程でトラブルに巻き込まれるリスクも考えられます。そのため、不倫の証拠集めは専門家を頼りましょう。